幽体離脱状態で老女と外に出た彼は、走馬灯のように自分の過去と向き合います。 その後読み進めていくと、何作目だったか、解説のところで同じ事を書いている方がいて、「同じことを思う人がいるんだ」と思ったことを記憶しています。 コミカルなところもあり、涙する場面もあり、さらっと読めるのですが感動の余韻が残ります。
「天子塵(てんしちり)を于外(うがい)に蒙(こうむ)る」。
やっぱり小説の神様は降りてきてくれたんだな、と……。
どなたにでもお勧めできる鉄板作品だと思います。 ストーリーの面白さと、魅力的なキャラクターたちにより作品の世界にグッと引き込まれます。 最後に 読んだ後に幸せな気分になれる作品が多い浅田次郎作品。
18競馬好きの人ならもっと楽しいかもしれない 『永遠の緑』は、競馬未経験の私でも競馬場に行きたくなってしまう爽やかな短編です。
終戦の玉音放送を聞いた3日後、ソ連軍に攻められたのです。
妻の危篤を知らされても、駅員としての職務を優先し駅にとどまった主人公。
当時は、貨客船など軍事用以外の輸送船は攻撃しないという協定が結ばれていたにも関わらず、アメリカの魚雷によって攻撃され沈められ、2000人以上の人が亡くなったとされている事件(過去)と、その沈んだままになっている船を引き上げるという計画が持ち上がり、引き上げに関わる人々が次々と不審死していく(現代)を結ぶ時代を超えた壮大な物語です。
3椿山課長の他にも、交通事故で死んだ少年、抗争で間違って殺されてしまったヤクザの組員などが椿山と一緒に現世に戻り、それぞれの現実を目の当たりにします。